CEのためのちょっと役立つ疫学:指標

疫学は医学研究における原因と結果の関係、因果関係を一般化した学問と説明しましたが、その因果関係を評価するためには指標が必要となります。

(文章だけではわかり難いところもあるのですが、)今回は疫学指標について簡単にまとめました。

*例として紹介している値については、仮の値として設定ています。ご注意ください。

      

有病割合 : prevalence proportion

あらゆる事象の割合を表します。(曝露割合、喫煙割合など病気以外にも用いることができます。)

対象事象保有者の人数 ÷ 対象集団の人数

率ではなく割合なので、0~1の値を取とります。

○ある一時点で集団の中に、事象(A)の人がどれくらいいるのか 

➡ 2021年2月1日時点でX病院に入院中の患者の内、維持透析を必要とする患者の割合は 0.07 (100人の内、7人)である

  

リスク : risk (incidence proportion)

設定した期間内にイベントが発生した割合を表します。

設定した期間内の対象イベント発生人数 ÷ 調査開始時における対象集団の人数

割合を示すので、0~1の値を取ります。

○健康な人の病気になりやすさ (期間を設定していることに注意が必要です!)

➡ ~の手術後の30日間の死亡リスクが20% , 20xx年に導入した慢性維持透析患者の5年生存率(生存割合)は 59.8% である

   

罹患率 : incidence rate

単位時間当たりの疾病や有害事象の発生頻度を表します。(疾病や有害事象のもつスピードとしても解釈することができます。)

設定した期間内の対象イベントの発生人数 ÷ 期間中のリスクを持っている人時(人年)の合計

*人時(人年):対象疾患に罹患する可能性がある状態(at risk)の期間の合計

→1人を9年間追跡したら、9人年(じんねん)、3人を3年間追跡しても、9人年となります。

単位は時間-1、取りうる範囲は0~∞です。

○単位時間当たりのイベントの発生頻度、速さ 

➡  201x年の癌の罹患率は男性で906.4/年(10万人当たり)→ ( 201x年に新たに癌になった人 / 201x年の人口 × 1年 ) × 100,000人

*言い換えると、10万人当たり 906.4人 / 365日 なので、0.402日 に1人は癌になっていると言える

   

オッズ : odds

ある事象の起こる確率が起こらない確率に比べて何倍か、を表します。

   Odds = p/1-p

      p  : 事象が起こる確率

      1-p : 起こらない確率

単位はなく、取りうる範囲は0~∞です。

○関連の強さを推定する(オッズ比(odds ratio))

➡ A病院に入院中の患者の、維持透析の曝露オッズ5.00、非曝露オッズ4.17 → odds ratio = 曝露オッズ/非曝露オッズ = 1.20

非曝露群(透析をしていない人)よりも曝露群(透析をしている人)の方が1.2倍イベントが発生しやすい

   

こういった指標の差や比(リスク差、リスク比、オッズ比など)を用いて、治療や曝露の影響を定量的に示すことで、研究の結果が真の因果関係を示しているのか、単に関連性偽の関連を示しているのかを解釈することができます。

定量的”とは、例えば ≪ タバコを吸っている人吸っていない人に比べて“○倍”肺癌になりやすい ≫ ということを示すことができ、検定による有意有意でないかの二択(定性的)よりも情報量が多くなります。

 

説明が不十分な点は多々ありますが、、、

それぞれの指標の意味、また、検定やp値だけでなく、定量的な推定を考慮して結果を判断したいですね!

(オッズについてもう少し、またハザードについても今後まとめてみたいと思います。)

参考文献:ロスマンの疫学,監訳 矢野栄二他              

     臨床医のための疫学シリーズ地域中核病院で行う臨床研究,小松裕和他

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投稿者プロフィール

CE_Y.A.
臨床工学技士。趣味はマラソン。現在、社会人大学院生として修士課程で疫学衛生学を専攻しています。日々の臨床での疑問を解決したい、論文を正しく読み判断したい、データを適切に扱いたい、そういった思いで一念発起しました。臨床工学と疫学は、遠いようで近く、また疫学は必要な知識であるが学ぶ機会の少ない分野なのではないかと思います。学んだことを臨床で生かしつつ、臨床工学技士と疫学を繋げる一助となればと考えています。
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