CEのためのちょっと役立つ疫学:誤差

今回は疫学研究に入りうる誤差についてまとめました。

研究においてはいかに誤差を減らすことができるか、また研究結果を解釈する際に誤差について意識し、それらについてどう論じられているか、ということに気を付ける必要があります。

誤差の種類について大きく分けて2種類、さらに3種類のバイアスに分類されます。

   

偶然誤差 : Random error

例えば、新生児の身長を計測するとします。Aさんは几帳面で目盛りキッチリ図って測定する、Bさんは大雑把でだいたいあっていればいいと測定する、Cさんは…、Dさんは…、このように無作為に生じる誤差を偶然誤差(Random error)と言います。偶然誤差は

サンプル数が多くなれば誤差は小さくなる

という特徴があります。   

系統誤差 : Systematic error

上記の例に続き、新生児の身長を測る際に、布製のメジャーを使用していたとします。そのメジャーを洗濯したことで縮んでいた場合、だれが何回測定しても一定の誤差が生じてしまいます(後述の情報バイアスに分類)。こういった誤差を系統誤差(Systematic error)と言います。系統誤差は

サンプル数が多くても誤差は変わらない(残ってしまう)

という特徴があります。

   

  

偶然誤差は仮にサンプルサイズを無限大にするとゼロに近づくのに対して、系統的な誤差は無限大にしても残ります。系統誤差のことはバイアスと表現され、選択バイアス情報バイアス交絡バイアスに分類されます。

選択バイアス 研究対象者が選択されるとき、脱落するときに生じる

例)ICU入院中のCHDFを施行した患者において、S膜を使用した患者は、A膜を使用した患者と比べて、ICU滞在期間が短い

➡ S膜よりもA膜を使用した患者の方が重症度が高く、結果としてS膜を過大評価している

   

情報バイアス 実際測定されたものとのずれ(誤分類・誤測定)から生じる

例)疾患Xの子供をもつ母親(症例群)に、妊娠中の内服について聴取した際に、疾患Xの子供をもつ母親は過去の内服について熱心に思い出そうとする

➡ 対称群よりも症例群の方が内服による影響が大きい、と過大評価してしまう

   

交絡バイアス 第三の要因(交絡要因)により因果関係が歪められてしまう

例)アルコール摂取と肺がんとの間に正の関連があった

➡ 喫煙している人がアルコールをよく飲む傾向にあるため、偽の関連となった(喫煙を調整する必要がある)

  

   

いろいろな要因によって、結果が歪められてしまいますが、

適切な研究デザインでバイアスを減らすことができているかデータソースが明確でどのように収集されたのか、また解析でばらつき(偶然誤差)を評価したうえで、交絡要因を調整できているかなど

それらについてどう論じられているかを気にすることでも、結果の解釈に役立つのではないでしょうか。

研究方法論のさわりとしてお役立ていただけると幸いです。

参考文献 : 多変量解析で何を調整するべきか-観察研究におけるバイアスの整理,頼藤貴志,岡山医学会雑誌132- April 2020,pp.18-24

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投稿者プロフィール

CE_Y.A.
臨床工学技士。趣味はマラソン。現在、社会人大学院生として修士課程で疫学衛生学を専攻しています。日々の臨床での疑問を解決したい、論文を正しく読み判断したい、データを適切に扱いたい、そういった思いで一念発起しました。臨床工学と疫学は、遠いようで近く、また疫学は必要な知識であるが学ぶ機会の少ない分野なのではないかと思います。学んだことを臨床で生かしつつ、臨床工学技士と疫学を繋げる一助となればと考えています。

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