透析患者の病態

透析技術認定士を目指す方
透析について勉強したい方
透析技術認定士について改めて確認したい方
資料を作成いたしました。古いものもありますが、誰かの何かの役に立てば幸いです。
※各記事につきましては、随時更新してまいります。
・透析患者の高血圧
約70%に合併
成因
体液量の増加
レニン・アンギオテンシン系の亢進
交感神経系の亢進
血管作動物質 エンドセリン↑
動脈壁弾性の低下
エリスロポエチン
目標:週初めの透析前血圧140/90未満
・低血圧
循環血漿量の減少
心機能低下
高圧薬
透析中あるいは直前の食事摂取
血管反応性低下
血液酸素分圧低下
ACE阻害薬によるショック
酢酸不耐症
薬剤アレルギー(ナファモスタット)
・ROD
低Ca、PTH分泌亢進、副甲状腺過形成、P上昇
繊維性骨炎:PTH過剰分泌による骨代謝・回転が促進した状態
骨軟化症;骨石灰化障害の結果、類骨量が増加した病態。Ca沈着部位へのアルミニウム沈着。
無形性骨:破骨細胞活性も骨芽細胞活性も低下し、骨代謝・回転が低下した病態。活性型ビタミンD製剤の積極的投与、長期にわたる高Ca血症によるPTH分泌抑制による。
・基準値
I-PTH:60~240pg/ml
P:3.5~6.0mg/dl
Ca:8.4~10.0mg/dl
血清補正Ca=実測Ca + (4-血清アルブミン)
・腎性貧血
正急性正色素性貧血
貧血改善:フェリチン、ビタミンB12、B6、葉酸
鉄欠乏性貧血のマーカー
トランスフェリン飽和度(TSAT)≦20%
血清フェリチン濃度≦100ng/ml
網赤血球内Hb含量≦32.2pg/cell
4~5ヶ月にわたるMCVの継続低下
・鉄補充開始基準
トランスフェリン飽和度(TSAT)≦20%
血清フェリチン濃度≦100ng/ml
・エリスロポエチン不応性の原因
鉄欠乏
出血性病変
二次性副甲状腺機能亢進症
骨繊維症
葉酸・VB12の欠乏
L-カルニチン欠乏
慢性炎症または感染症
脾機能亢進症
不十分な透析・透析液の非清浄化
アルミニウム中毒
栄養不良
薬剤:ACE阻害剤またはインターフェロンなど
悪性腫瘍、臓器腫瘍
・透析アミロイドーシス(DRA)危険因子
①透析導入時の年齢が高い
②キュプロファン膜の使用
③透析液の清浄度が低い、または遺伝的素因
④アポリポ蛋白E4遺伝子をもつ
⑤MCP-1遺伝子GG型をもつ
スクリーニングとしてTinel徴候やPhalen試験がある。
確定診断はコンゴレット陽性、抗β2MG抗体を用いた免疫染色で陽性。
・手根管症候群とは、β2MGを校正蛋白とするアミロイドが手根部の滑膜に沈着し
手根管の狭窄、血行障害、正中神経圧迫症状、夜間の激しい疼痛、母指球筋の萎縮
弾発指・肩痛。透析開始後12年頃に発症
・DRA(破壊性脊椎関節症)はC5-6椎間を中心とする下位頸椎・腰椎に好発
病因:アミロイド沈着、促進因子→導入時の年齢や透析期間
・T細胞
胸腺リンパ球の分化段階を区別する重要なマーカー抗原がCD4とCD8である。
透析患者の血中リンパ球は減少傾向にあるが、CD4/CD8比は正常である。
体液性免疫:B細胞、形質細胞
・透析患者の結核症
食欲低下、体重減少、微熱、易労感などの非特異的な症状で発症
肺外結核症が多い
粟粒結核を発症することが多い
透析患者に対する相対危険度は10~15倍である。
一般人口比べ、男性1.55倍、女性2.79倍である。
高齢維持透析患者に多い
最近では肺結核症も増加している。
飛沫感染である。
・確定診断
①ツベルクリン反応:透析患者はアネルギー状態で陰性になることもある。BCGワクチンで偽陽性になる。
②結核菌検査:喀痰培養
③胸部X線検査:肺門陰影の拡大、空洞の有無
④血清を用いた補助診断法:EAST-6、CFP-10
・脂質代謝異常
慢性腎炎・ネフローゼ症候群:LDL-CやTG増加
CKD患者:HDL-Cが正常~低下、LDL-Cの低下、TG増加
透析患者:HDL-C低下
腹膜透析:TG高い、VLDLの産生が亢進
LDL分画中の過酸化脂質、参加LDLが高値に存在する
血清リポ蛋白濃度上昇
ヘパリン透析患者では高グリセリド、低HDL血症
CAPD患者ではHD患者より高グリセライド血症、低HDL血症が高度
・禁忌薬:ベザフィブラート、フェノフィブラート
・低栄養の指標
貧血、BUN/Cr比の上昇、コレステロール低下、トランスフェリン低下、低K・P血症、血清アルブミン低下
・身体構成成分貯蔵量の評価
BMI | |
上腕骨格筋肉量、皮下脂肪厚 | |
二重X線吸収法(DEXA) | 脂肪量の測定 |
電気インピーダンス法(BIA) | 体液量、体脂肪量、体蛋白量 |
クレアチニン生産率 | 筋肉・蛋白量 |
・透析患者の欠乏症
アミノ酸 | 透析により除去される。 | |
ビタミン | 脂溶性(D,A,K,E)はHDで除去されない。VAは血中濃度が上昇する。水溶性(B1,B2,B6,C)はHDで除去される→食事で摂取。VB12・葉酸は蛋白と結合し、除去されにくい。 | |
微量元素(HDでは除去されない) | 鉄、亜鉛、セレン |
・透析患者の薬物血中濃度モニタリングが必要な薬剤
ジゴキシン、ストレプトマイシン、バンコマイシン、カンバマゼピン、アシクロビル
・薬物投与で配慮すべきこと
蛋白結合率と分子量、薬剤中にふくまれる電解質、分布容積
※分子量が小さくて、血中蛋白に結合しない、分布容積の小さな薬物は透析で除去される。
投稿者プロフィール

- 臨床工学技士です。他職種を含めた若手の臨床指導に力を入れて研修会・現場での仕事だけでなく、企業・教育セミナー講師、国内外の学会発表・参加、医療雑誌のコラム執筆に挑戦してきました。興味のある後輩達にそのノウハウや情報提供を行い、よりより後輩を育成するべく日々、自問自答です。育てた後輩達はいつか自分と周りの人々を助けてくれると信じています。
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