呼吸リハビリテーション

呼吸療法認定士を目指す方
呼吸について勉強したい方
呼吸療法認定士について改めて確認したい方
資料を作成いたしました。古いものもありますが、誰かの何かの役に立てば幸いです。
※随時更新して参ります。
患者、家族に対して継続的に実施する。 |
QOLの向上を重視。 |
Cost effectivenessを常に意識して行う |
科学的根拠に基づいて実施する。 |
チーム医療として行う |
患者選択の基準
症状のある呼吸器疾患 |
標準的治療により病態が安定している |
呼吸器疾患による機能的制限がある。 |
呼吸リハビリテーションの妨げとなる因子や不安定な合併症がない |
患者自身に積極的な意思があること |
年齢制限や肺機能、動脈血ガス分析による基準は定めていない。 |
呼吸リハビリテーションの目的
息切れおよび運動耐容能の改善 |
日常生活や職場への復帰、家庭での充実 |
社会参加 |
趣味およびレジャーの再開あるいは開始 |
精神面での強化 |
自己管理能力の向上 |
社会資源の活用と経済的負担の軽減 |
在宅機器の操作の習熟と管理能力の向上 |
日常生活への満足感 |
急性期呼吸リハビリテーション
集中治療室における超急性期リハビリテーションで用いられる手技は
「体位変換」「気道管理」「早期離床」の3つに集約されている。
人工呼吸使用期間の減少、集中治療室滞在日数の減少、入院日数の減少、予後改善の効果に対して根拠はない
早期呼吸リハビリテーション(一般病棟)で用いられる手技は
「コンディショニング」「離床とADLトレーニング」「運動療法」の3つに集約されている。
早期呼吸リハビリテーションでは、対象とする疾患、病態について明確な適応基準は確立されていない。
呼吸リハビリテーションの評価項目
必須 | 問診及び身体所見 |
スパイロメトリ | |
胸部X線 | |
心電図 | |
呼吸困難感(安静時、労作時) | |
経費的酸素飽和度(SpO2) | |
パルスオキシメータを使った歩行試験 | |
握力 |
行うことが望ましい評価 | 時間内歩行試験(6分間歩行試験、シャトル・ウォーキング試験) |
栄養評価(BMIなど) | |
ADL評価 |
可能であれば行う評価 | 検査室での運動負荷試験(エルゴメーター、トレッドミル) |
上肢筋力、下肢筋力の測定 | |
呼吸筋力の検査 |
MRC息切れスケール
Grade0 | 息切れを感じない |
Grade1 | 強い労作で息切れを感じる |
Grade2 | 平地を急ぎ足で移動する。また緩やかな坂を歩いているときに息切れを感じる。 |
Grade3 | 平地歩行でも同年齢の人より歩くのが遅い、または自分のペースで平地歩行していても息継ぎのため休む |
Grade4 | 100ヤード(91.4m)歩行したあと息継ぎのため休む、または数分間、平地歩行したあと息継ぎのため休む |
Grade5 | 息切れがひどくて外出できない、または衣服の着脱でも息切れする。 |
COPDに対する呼吸リハ
呼気筋である腹筋群が参加した呼吸法を腹壁呼吸と呼ぶ
横隔膜呼吸および腹壁呼吸の複合と、口すぼめ呼吸との組み合わせは有用な呼吸法である。
腹式呼吸は横隔膜呼吸とも呼ばれる。
COPD患者では、平低化した横隔膜をさらに収縮させることは困難で、横隔膜呼吸では不利である。むやみにCOPD患者に対し、おなかを膨らませるよう指導してはならない。
COPDでは呼気を意識した呼吸法が有用である。
口すぼめ呼吸の効果
気道内圧を上昇させて気道虚脱を防ぐ |
呼気量を増加させて呼吸を深くさせる(1回換気量の増加) |
死腔換気を減らし、換気の効率を改善する。 |
呼気量を確保させることで、動的過膨張を防ぐ |
動脈血酸素飽和度を上昇させる。 |
呼吸困難を緩和する。 |
口すぼめ呼吸の吸気と呼気の比は1:3~5程度、呼吸数10回/分程度を目標に、ゆっくり口すぼめで息を吐かせるトレーニングである。 |
喀痰排出の理学的手技
重力の利用 |
十分な局所気流の確保 |
13Hzの振動の利用 |
有効な喀出の援助 |
肺理学療法の実施と適応について
喀痰量の多い患者において有効である。喀痰量としては1日25ml以上が目安となる。 |
慢性呼吸器疾患の急性増悪時 |
術後合併症の予防 |
無気肺の解除 |
体位ドレナージとその他の手技(AD,PEP,HFO,Flutterなど)とではその効果には大差がないと考えられている。 |
※AD(自原排痰法)、ACBT(アクティブサイクル呼吸法)
タッピングやバイブレーションの効果は科学的に証明されておらず、気道攣縮を誘発する可能性があるので推奨されていない。
運動療法
運動の持続時間は15~30分は必要である |
上肢の動作の多くは慢性呼吸器疾患患者で下肢の動作よりも呼吸困難を引き起こしやすい |
運動負荷試験は最大酸素摂取量を定量とする定量負荷試験が望ましい |
運動負荷試験には6分間歩行試験が有用 |
6分間歩行試験は歩行距離の変化で臨床的に意味があるレベルは50m前後からである。 |
6分間歩行試験には馴れの要素があり、30m前後のばらつきがある。 |
運動負荷試験には最大酸素摂取量を定量する定量負荷試験とシャトルウォーキングテストがある。 |
漸増負荷試験とはシャトルウォーキングテストのことである。 |
シャトルウォーキングテストは簡便に実施でき、安全性も高い漸増負荷試験である。 |
呼吸リハのエビデンス
以下A
1、呼吸リハはCOPDの息切れを軽減
2、呼吸リハはCOPDの健康関連QOLを改善
3、6~12週間の呼吸リハはいくつかの有益な効果をもたらし、それらは12~18か月かけて徐々に減少する。
4、COPDの運動療法は、歩行に関わる筋群のトレーニングが必須
5、筋力トレーニングを加えることにより、筋力の増強、筋量が増加
6、上肢支持なし持久力トレーニングはCOPDに有用であり、呼吸リハに加えるべき
7、低強度負荷および高強度負荷によるCOPDの運動療法は、両者とも臨床的に有用。
呼吸困難の評価
直接的評価
①VAS(Visual Analogue Scale)
②修正Borgスケール
間接的評価
①Baseline Dyspnea Index(BDI)
②FHJ分類
③MRC息切れスケール
呼吸困難指数
①dyspnea index
投稿者プロフィール

- 臨床工学技士です。他職種を含めた若手の臨床指導に力を入れて研修会・現場での仕事だけでなく、企業・教育セミナー講師、国内外の学会発表・参加、医療雑誌のコラム執筆に挑戦してきました。興味のある後輩達にそのノウハウや情報提供を行い、よりより後輩を育成するべく日々、自問自答です。育てた後輩達はいつか自分と周りの人々を助けてくれると信じています。
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