NPPVとその管理法

呼吸療法認定士を目指す方
呼吸について勉強したい方
呼吸療法認定士について改めて確認したい方
資料を作成いたしました。古いものもありますが、誰かの何かの役に立てば幸いです。
※随時更新して参ります。
NPPVの適応
意識が良く協力的であること。
顔面に外傷がないこと。
消化管が活動している状態であること。
禁忌
不穏がある。
気道確保が困難(挿管した方がいい)
自発呼吸がない
不穏状態(マスクを外してします)
最近の腹部、食道手術をした場合(分泌物が増えるから)
顔面に外傷や火傷(マスクが装着できない)
多臓器不全(多臓器不全では、循環動態が悪くなる)
心筋梗塞、不安定狭心症がある場合
(NPPVに限らず、人工呼吸器を装着すると心臓が圧迫され循環胴体が悪くなる)
咳反射がない
ドレナージされていない気胸がある場合
大量の気道分泌物がある場合(マスク装着中は吸引できないので)
モード
Sモード | 自発呼吸のみを補助する。いわゆるPS+PEEPに相当し、呼吸数、吸気時間、呼気時間は患者の自発呼吸により決定される。 |
Tモード | TモードのTは、timedの頭文字で『時間が指定された』という意味です。 設定された呼吸数、吸気呼気比で調節喚起(強制換気)を行います。 |
STモード | 主としてSモードとして働き自発呼吸を補助するが、一定時間内に自発呼吸のない場合には、バックアップとしてIPAPが供給される。 |
CPAPモード | 吸気呼気ともに一定の圧をかける。 |
PCモード | 全ての呼吸が器械サイクルによって行われる以外はSTモードと似ている。 |
COPDにおける長期NPPV適応基準
起床時に頭痛の自覚症状がある。 |
PaCO2<55mmHgであるが、夜間の低換気による低酸素血症を認める症例 |
安定期のPaCO2<55mmHgであるが、高二酸化炭素血症を伴う急性増悪入院を繰り返す症例 |
最大限の包括的内科治療を行っていること。 |
導入3~4ヶ月後に血液ガス検査、睡眠時呼吸状態・QOL・NPPVコンプライアンス評価を行い、継続の必要性を評価する。 |
IPAPの設定 | 〇導入は8~10mmH2Oで開始し、患者の快適さ(呼吸困難や呼吸補助筋の使用の程度)、次いでPaCO2、1回換気量、呼吸数を参考に設定を変更する。 |
PaCO2は、まず5~10mmHg程度低下することを目標 | |
1回換気量は6~10ml/kgを目標 | |
EPAPの設定 | 〇基本的には4cmH2Oのままでよい |
酸素化が不十分→PEEP効果を期待して上げる。 | |
トリガーがうまくかからない場合、試しに4→6→8cmH2Oと変化させトリガーが改善すればその値に変更。 |
導入の初期設定
※酸素化が不十分であればEPAPを上げる。
在宅NPPVの基礎疾患
COPD | 29% |
結核後遺症 | 24% |
神経筋疾患 | 23% |
睡眠時無呼吸症候群 | 7% |
後側弯症 | 6% |
その他の低換気症候群 | 3% |
肥満低換気症候群に対するNPPV療法
BMI≧30kg/m2 |
日中の高度の傾眠 |
慢性の高二酸化炭素血症 |
睡眠呼吸障害の重症度が重症以上 |
治療の第一選択としてCPAPを処方 |
NPPVの保険適応
急性呼吸不全に対してNPPVはPaO2/FiO2が300mmHg以下またはPaCO245mmHg以上の急性呼吸不全の場合に限り人工呼吸に準じて算定することが可能 |
睡眠時無呼吸症候群の患者は対象とならない。 |
在宅NPPVの保険適応は、長期にわたり持続的に人工呼吸に依存せざるを得ず、かつ、安定した病状にあるもの。 |
在宅NPPVの対象となる患者は、病状が安定し、在宅での人工呼吸療法を行うことが適当と医師が認めた者。 |
NPPV使用は1日数時間ということもあり得るので、人工呼吸器の保険算定は1日5時間未満までは30分毎の算定となっている。 |
睡眠時無呼吸症候群について
無呼吸 | 10秒以上停止した状態 |
低呼吸 | ベースラインの50%以下になる状態 |
閉塞性(OSAS)が多い | |
AHI | 5~15回/時間(軽症) |
15~30回/時間(中等度) | |
30回/時間以上(重症) |
投稿者プロフィール

- 臨床工学技士です。他職種を含めた若手の臨床指導に力を入れて研修会・現場での仕事だけでなく、企業・教育セミナー講師、国内外の学会発表・参加、医療雑誌のコラム執筆に挑戦してきました。興味のある後輩達にそのノウハウや情報提供を行い、よりより後輩を育成するべく日々、自問自答です。育てた後輩達はいつか自分と周りの人々を助けてくれると信じています。
最新の投稿
運営2022.04.08新年度 新たなはじまり
呼吸療法認定士2021.11.25呼吸療法認定士、合格への道
呼吸療法認定士2021.09.23在宅人工呼吸
呼吸療法認定士2021.09.16腎機能検査と感染症モニタリング