ペースメーカー概論 〜CIEDs〜

植え込み型心臓不整脈デバイス認定士を目指す方

植え込み型心臓不整脈デバイスについて勉強したい

植え込み型心臓不整脈デバイス認定士について改めて確認したい方

資料を作成いたしました。古いものもありますが、誰かの何かの役に立てば幸いです。

☆ペーシングの基本概念
心筋細胞は電気的ペーシング刺激が伝搬され活性化される

●安定して心筋を刺激するために(構成因子)
・ペースメーカー本体
・リード
・心筋の興奮性

●基本機能
・センシング
・ペーシング

☆ペースメーカー本体

缶:チタン
電池:リチウムヨウ素、銀酸化バナジウムリチウム、フッ化黒鉛銀酸化バナジウムリチウム、二酸化マンガンリチウム
回路:マイクロプロセッサ集積回路、水晶振動子 、テレメトリーコイル、リードスイッチ、コンデンサ

☆ペースメーカーリードの特徴

・耐久性に優れている
・心筋に接する電極部分とリードで構成されている
・リードはシリコンやポリウレタンの絶縁体で被覆されている

・Screw-in型
・どこでも留置可能
・ディスロッジがおこりにくい
・リードの抜去が容易
・心房穿孔のリスクが高い

・Tined型
・手技が容易
・構造上、心耳・心尖部ペーシング
・ディスロッジが起こりやすい
・リードの抜去がしにくい

☆ペースメーカーリードの構造

・バイポーラ
リードチップ電極とリードリング電極の間で通電
構造:複雑
心電図(ペーシングスパイク):確認しにくい
電磁干渉・筋電位障害:受けにくい
Twitching:起こりにくい
極性:ユニポーラに切り替えられる

・ユニポーラ
リードチップ電極とペースメーカ本体で通電
構造:確認しやすい
心電図(ペーシングスパイク):確認しやすい
電磁干渉・筋電位障害:受けやすい
Twitching:起こりやすい
極性:ユニポーラのみ

☆ペーシング

電気刺激を行なって心筋を興奮させること

・出力(Amplitude)
ペースメーカーが心筋を刺激する強さ(電圧)
・パルス幅(Pulse Width)
刺激パルスの持続時間のこと(msec)
※電圧とパルス幅で形成される面積が刺激のエネルギーとなる

☆ペーシング閾値の評価

・ペーシング閾値:心筋を興奮させるのに必要な最小の電気エネルギー
・電圧閾値:パルス幅を一定にして低減させる方法
・パルス幅閾値:電圧を一定にしてパルス幅を低減させる方法

※ペーシングの出力設定は電圧閾値の2倍もしくはパルス幅閾値の3倍

●Wedensky効果
刺激電圧をキャプチャーされなくなるまで低減させ測定した刺激閾値は、閾値以下の刺激強度からキャプチャーされるまで漸増させていく時より0.1~0.2V低い。
→だから閾値測定は上から下げていく

●レオベース:心筋層を刺激するうえでパルス幅を延長しても電圧閾値が一定となり変化しなくなった最も低い刺激電圧

●クロナキシー:レオベースの2倍の電圧におけるパルス幅閾値(最も効率的な値)

☆ペーシング不全

閾値に影響を及ぼす因子 ・薬剤 ・電解質の異常 ・心筋虚血 ・うっ血性心不全

☆センシング閾値
デバイス感度はセンシング閾値の1/2以下に設定する。


●アンダーセンシング:感度設定が鈍すぎる(自己心拍を認識できない)
●オーバーセンシング:感度設定が鋭すぎる(筋電位などを自己心拍と認識する)

☆リード抵抗(インピーダンス)

リード抵抗はリード導線固有の抵抗と電極面積、心筋の抵抗率に起因する。


・断線(抵抗値が高くなる):ペーシングやセンシングが正しくできない
・短絡(リーク)【抵抗値が低くなる】: ペーシングやセンシングが正しくできない

☆NBGコード

例:VVIR
V:1文字目 ペーシング部位
V:2文字目 センシング部位
I:3文字目 
作動様式 R:レート応答機能

●1文字目:ペーシング
A:Atrium(心房)
V:Ventricler(心室)
D:Dual Chamber(心房&心室)
O:None

●2文字目:センシング部位
A:Atrium(心房)
V:Ventricle(心室)
D:Dual Chamber(心房&心室)
O:None

●3文字目:作動様式
T:triggers Pacing(同期)
I:Inhibits Pacing(抑制)
D:Inhibits ans Triggers(同期&抑制)
O:None

●4文字目:レート応答機能
R:Rate Responsive

☆センシング閾値

デバイスが自己電位を検知するうえで必要な電位の高さをセンシング閾値といいます。

・デバイス感度は、センシング閾値の1/2以下に設定する。

・感度が設定が鈍すぎる
→自己心拍を認識できない(アンダーセンシング)

・感度設定が鋭すぎる
→筋電位などを自己心拍と認識する(オーバーセンシング)

☆AVディレイ

・心房イベントから心室ペーシングまでの時間
・心房センシングまたはペーシングから自己の心室波が検知されなければ心室ペーシングを行う

☆不応期とブランキング

●ブランキング
・Atrial Blanking Period
・Ventricular Blanking Period

●不応期
・Atrial Refractory Period
・Ventricular Refractory Period

●PVAB(Post Ventricular Atrial Blanking)
・心室のイベントから始まる心房絶対不応期
・Far Field R wave(ペーシング・センシングに関係なく心室収縮波を心房でセンシングすること)の影響を避ける。
●PVARP(Post Ventricular Atrial Refractory Period)
・心室のイベントから始まる心房不応期
・逆行性心房波の影響を予防する
●TARP(Total Atrial Refractory Period)=AV delay +PVARP

●FFRWセンシング
心室ペーシングや心室自己脈を心房側で感知する
・ Type Ⅰ :R波の後にFFRWが出現するケース →PVABの延長で回避
・Type Ⅱ :R波センシングより前にFFRWセンシングを起こす
→PVABの延長で回避できない
→感度の変更で回避 心房感度を鈍く 心室感度を鋭く(FFRWより先に心室側でセンシングさせる)

☆ペーシングレート

・ウェンケバッハ作動
心房レート上昇によるウェンケバッハ作動
上限レートを上回る自己心房波にはAV delayが延長した心室ペーシングが行われる

上限レート120bpm
下限レート60bpm
ウェンケバッハ作動120bpm〜150bpm
2:1ブロック150bpm

・2:1作動
2:1ブロックレート=60000/TARP(全心房不応期)
Ex:60000/(150+250)=150bpm

・洞調律の心房波が上限レートを上回りPVARP内に入りトラッキングされない
・上限レートがTARP(全心房不応期)に関係する
・上限レートがTARP(全心房不応期))で計算したレートと同じであれば、ウェンケバッハ作動は起こらず上限レートは2:1作動となる

☆レートレスポンス

運動中に心拍数を増加させることができないことを変時性不全という。
→センサーを利用して心拍数を上昇する。

●加速度センサー:運動開始に素早く反応、体動・振動に反応。
●分時換気量センサー:呼吸により変化する経胸腔インピーダンスを利用し、分時換気量を測定。身体的活動がない代謝需要を検出できる。分時換気量センサーと加速度センサーを組み合わせて使用することが多い。
●心筋収縮力センサー:心筋収縮力の変化・心筋インピーダンスの変化として検知し反応させる。
●QT時間センサー:QT時間は心拍数増加、交換神経の緊張で短くなることを利用。電解質異常で影響を受けることがある。

☆モードスイッチ

早い心房レート(Ex.心房細動)に追従して最大トラッキングレートでのペーシングを避けるために別のペーシングモード(非トラッキングモード)に自動的に変更する機能
Ex.DDD→DDI

☆心房頻拍の抑制・治療

・心房頻拍の抑制
心房ペーシングを優先させ、心房期外収縮を抑制し、心房頻拍発生になるトリガーを抑制する

●心房頻拍の治療
心房抗頻拍ペーシング【ATP(Anti Tachy Pacing)治療】
※下記に某社のATP設定等を紹介する。

Rhythm Change
同一エピソードであってもリズムが変化するとRx1~3の治療を行う。

・Time Interval
エピソードに対し全ての治療が終了した後でも、設定している時間が経過すると再度治療を行なう。

・治療成功判定基準
ATP後、20sec以内に5連続の洞調律を認める

心房性頻脈の再発予防を目的として設定されたレートと時間心房ペーシングを行い治療を行う

☆不要な右室ペーシングの低減

DDDRで累積心室ペーシング率が40%を超えると心不全の入院リスクが40%未満の方に比べ2.6倍上昇する

心室ペーシング率が80−85%までは心房細動のリスクが直線的に上昇する

●自己心拍優先機能
AV delayを延長して、房室電動を優先させる機能

●房室伝導優先機能
房室伝導を優先するためにモードを変更する(Ex.AAI⇄DDD)

このページは随時更新しております。
何卒ご活用ください。

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投稿者プロフィール

Takuya
Takuya
臨床工学技士です。医療者教育について学んでいます。他職種を含めた若手の臨床指導に力を入れて研修会・現場での仕事だけでなく、企業・教育セミナー講師、国内外の学会発表・参加、医療雑誌のコラム執筆に挑戦してきました。興味のある後輩達にそのノウハウや情報提供を行い、若手支援をしながら日々、自問自答です。素晴らしい若手は自分と周りの人々を助けてくれると信じています。

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